八犬伝

とにかく「南総里見八犬伝」というのは、大好きな話。最高の伝奇だと思う(勿論元ネタの『水滸伝』に比べればスケールは小さいかもしれないが、それでもたいがいスケールはでかい)。もともとは、小学校の頃のジュヴナイル版、さらにNHK人形劇(辻村ジュサブローの人形の縮緬の顔のテクスチャーの素晴らしかったこと)からはじまって、山田風太郎の『八犬伝ISBN:4331606538(これは「虚の世界」=八犬伝と「実の世界」=馬琴の生活が交互に語られ、仕舞いには虚実冥合してしまうという風太郎節全開の怪作)、さらには曲亭馬琴の原作を岩波文庫版(ISBN:4003022416、以下全一〇巻)で全巻そろえてしまった。やはり原作は、馬琴の晦渋な語り口とトリヴィアルなペダントリーに翻弄され、途中でダウンした。何時か読み切りたい。
そういえば日本の伝奇Best5なんていうのを大昔にウェブに上げていたことがあった。たしか山田風太郎魔界転生』(それか『警視庁草紙』)、司馬遼太郎『最後の伊賀者』、半村良『妖星伝』、で曲亭馬琴南総里見八犬伝』だったかな。ファイルが何処に行ったか分からないので定かではないが。
ちなみに、滝沢馬琴という表記は好きじゃない。号と本名を混ぜているから。筆名は、あくまでも曲亭馬琴で、それに本名の滝沢(瀧澤)解をまぜちゃあいけない。歌川広重を「安藤広重」と称するのも×(本名は安藤重右衛門)。「杉本さんま」とか「長谷川紳助」とか「駿河鶴瓶」みたいなもの。「美濃部志ん生」「美濃部馬生」「美濃部志ん朝」。これはケッタイやろ。さらにいこうか。美濃部ダイナスティに続き、海老名ダイナスティ。「海老名三平」「海老名こぶ平」「海老名いっぺい」、「海老名美どり」「海老名泰葉」「海老名竜太」。ありゃ、本名も混ざった。