新解さん

僕にとって無いと身動き取れなくなるソフトのひとつが、ロゴヴィスタ電子辞典(最近「システムソフト電子辞典」から名称が変わった模様)。今、格納している辞典は、「広辞苑第5版」、「岩波日本史辞典」、「リーダーズ英和辞典」、「新和英大辞典第4版」、「プチ・ロワイヤル仏和・和仏辞典」「小学館類語辞典」だが、OS9の時に使っていた「岩波国語辞典」がOS Xでは使えなくなったので、国語辞典も欲しいなと思っていた。久しぶりにサイトに行ったら、ブラウザ・ソフトも変わっているわ、辞典をダウンロード出来るわと色々変わっていた。で、そのダウンロード出来る辞典のリスト内に「新解さん」こと「新明解国語辞典」があるではないか。早速、購入。
新解さん」が独自の、断定的な、変な、イッチャッテイル言葉の定義をすることは、赤瀬川原平新解さんの謎 (文春文庫)』および夏石鈴子新解さんの読み方 (角川文庫)』によってr明らかにされてしまったわけだが、とりあえずその定義をしみじみと味わってみよう。さっそく引いてみた言葉は、赤瀬川が冒頭で引用している「恋愛」。『広辞苑』の定義は以下の通り。

(love の訳語) 男女が互いに相手をこいしたうこと。また、その感情。こい。「--小説」

普通やね。で、「新解さん」の定義はというと、

特定の異性に特別の愛情をいだき、高揚した気分で、二人だけで一緒にいたい、精神的な一体感を分かち合いたい、出来るなら肉体的な一体感も得たいと願いながら、常にはかなえられないで、やるせない思いに駆られたり、まれにかなえられて歓喜したりする状態に身を置くこと。

「高揚した気分」「出来るなら肉体的な一体感」「やるせない思い」「まれにかなえられて」「歓喜する」。やっぱ凄すぎる。これから辞典を引くたびにこのような定義に出逢えるかと思うとワクワクする。
もういっちょ。「小説」は『広辞苑』では、

1,[漢書芸文志「小説家者流、蓋出於稗官、街談巷語道聴塗説者之所造也」]市中の出来事や話題を記録したもの。稗史
2,(坪内逍遥による novel の訳語) 文学の一形式。作者の想像力によって構想し、または事実を脚色する叙事文学。韻文形式だけでなく、語り手が物語るという形式からも自由となった、市民社会で成立した文学形式。古代における伝説・叙事詩、中世における物語などの系譜を受けつぎ、近代になって発達、詩に代って文学の王座を占めるに至った。

まじめで、勉強になる。でも、新解さんによればこうなる。

〔ノベルの訳語〕 作者の奔放な構想力によって、登場する人物の言動や彼等を取り巻く環境・風土の描写を通じ、非日常的な世界に読者を誘い込むことを目的とする散文学。読者は、描出された人物像などから各自それぞれの印象を描きつつ、読み進み、独自の想像世界を構築する。

「奔放」で「非日常」でなければいけないらしい。私小説の立場は?