実体のない影

morohiro_s2005-09-23

現代の影絵といえば、高松次郎の「影のドローイング」シリーズ。国立国際美術館の大きな壁画→http://www.nmao.go.jp/japanese/floorpopup/holl_b.jpgも有名である。見ていると、目の焦点が合わなくて、くらっとしてくる。「あえかな」とはこういうもののことを言うのかなと思ってしまう。ところで、これはまさしく「かたちづくられた」影であり、これまでのイメージのように影を「かたどった」訳ではない。制作のためのスケッチを見ると、綿密に「このような光が当たればこのような影が出来るであろう」ということが計算されている。スケッチというより、設計図と呼んだ方が良いか。と考えれば、これは相当にパラドキシカルなイメージであるといって良いだろう。影を描いたものだが、その影を生みだすはずの実体は何処にもないのだから。