AAS

紅野謙介氏が、ブログ(http://homepage.mac.com/konokensuke/iblog/C1948269043/E20060418131927/index.html)で、サンフランシスコで行われたAAS(Association for Asian Studies:アメリカのアジア学会)の年次大会に参加してきたと書いておられる。でかいホテルを借り切って、パネルが240! 一つのパネルあたり、平均4人は参加してるだろうから、1000近い発表が4日間で行われることになる。まあ、それもその筈、地域は日本からインドまで(中近東も入っていたかな)、領域としては、政治、経済、社会、歴史、文化に至るまでだから、とにかく広い!
実は、僕も2000年にサン・ディエゴで行われた大会に参加したことがある。当時、ニューヨーク大学にいたM・マッケルウェイ君が誘ってくれて、日本の「風景」に関するパネル「日本の風景画における内性と外性」を明治学院大の(というか「日本美術探偵団」の)山下裕二さんと、同志社大の岸文和師匠と一緒に参加したのだった。ディスカッサントは、プリンストン大の清水義明さんで。今でも発表要旨が残っている→Guide to Garcinia Cambogia that work - Aasianst : Aasianst
「日本美術史」に関するパネルは、これだけだったので、人は多く入ったが、討議は、中世水墨画研究家同士である山下vs清水の構図になってしまって、他の三人(特に「日本美術史」とは言いづらい岸、佐藤の二人は)は蚊帳の外で、「…」だったんだけど、普段、美学美術史という狭い世界にいる人間にとっては、いい経験だった。色々、刺激的な発表も聞けたし。デイヴィッド・ルーリー君(現コロンビア大)による奈良の木簡におけるエクリチュールの問題とか、ユキオ・リピット君(現ハーヴァード大)の『君台観左右帳記』における「コレクション」の問題だとか、ジョルダン・サンドさん(ジョージタウン大)やカレン・ウィゲンさん(デューク大)の「木曽」や「信濃」の構築に関する発表だとか。
一番、驚いたのは、ブースにおいて。こういう学会では、出版社などがブースを作って、本を売ったりしているもんだけど、その中に本も何も置いていない、なんか長髪+髭のでかいプロレスラーみたいな兄ちゃんが所在なげに立っているブースがあった。後ろのパネルにはどでかい白頭鷲。「Central Intelligence Agency」って書いてある。ん? 中央? 情報? 局?……。


CIAやん。


なるほど、政治から経済から色んな学生が来ているから、アジアの専門家をリクルートしに来ていた模様。普通は、スパイ小説のなかでしかお目に掛かれないものが、すぐそこにあって、意外と身近なもんなんだなと思った一方で、アメリカにおけるアジア研究のポリティックスをまざまざと見た気がした(ちなみに、最近では日本研究の予算がどんどん削られて、中国研究に回されているとかいうことをよく聞く。う〜ん、生臭い話やなぁ)。