風景を移す

morohiro_s2006-04-25

写真史の講義のため、大きめのカメラ・オブスキュラを作ろうと、虫眼鏡を二つ、百円ショップで購入。焦点距離を確かめるために、家の壁に窓の外を写してみた。見事に逆転して写る。外の眺めは室内に「移って」くる。
かつて、中井正一が〈うつす〉こととは、投影する(映す)こと、模写する(写す)こと、移動させる(移す)こと、反覆させる(覆す)ことであり、それらは全て「等値的射影」を意味すると述べ、「場所的に一方より一方に移動せしめ、しかも關聯的等値性をそれが帯びてゐる場合、それをうつすと人々は呼ぶのである」と彼は言い、それが「藝術の原現象」であるとしたことが、納得が行く(「うつす」『光画』1-4、1932年)。
ちなみにこの二種の虫眼鏡。