国宝ローズとジャパニーズ・アメリカン
ニューヨークに棲んでいたとき、国宝ローズには世話になったよなって、連れ合いと話をしていた。もうちょっと上等で、ニュー・ジャージーのヤオハンに行かなきゃ手に入らない田牧米ってのもあったけど、国宝ローズはニューヨークのコリアン系のデリだったら何処にでも置いていた。コリアン系のデリってことは、ほとんどのデリで手に入ったっていうこと。
アメリカに行くまでは、「カリフォルニア米」って美味しいのかなって思ってたけど、これが結構いける。もちろん、最高級のブランド米と比べて云々の話ではないかもしれないが、不満を覚えたことは無かった。
で、「kokuho rose」で検索してみると、国宝ローズの生産者であるコーダ・ファームズのウェブサイトに出逢う。
農場の歴史のページ(History of Koda Farms – Koda Farms)を見ると、どうやら、コーダ・ケイサブロウという人が、20世紀初頭にカリフォルニアに渡り、栽培を始めたらしい。非常な成功を収めたものの、日米戦争のはじまりとともに、やはり彼とその家族も収容所に入れられて、戦後帰ってみたら、その農地は荒れ果てていた。それから立て直しに……という、ジャパニーズ・アメリカンの歴史の一側面が語られている。そうか、そんな歴史があったのか(ちなみに前述の田牧米のサイトもあった。これは新しいみたいで、日本語ページもある→Tamaki Rice。株主も大手企業がついていて、最近の日本の企業の派遣員をターゲットにしているようにも思える)。
今度は日本語で「国宝ローズ」で検索してみると、アメリカにおける「日系人」の歴史についてのサイト(http://likeachild94568.hp.infoseek.co.jp/index.html)にぶつかる。国宝ローズについてはここ→http://likeachild94568.hp.infoseek.co.jp/kodafarm.html。
「コーダ・ケイサブロウ」とは、「国府田敬三郎」と書くのだった。履歴については、http://likeachild94568.hp.infoseek.co.jp/gunzok.html#kodaに詳しい。
そういえば、以前、ピクトリアリズム写真について調べていたとき、ロサンゼルスを中心としたジャパニーズ・アメリカンのアマチュア写真家たちの作品に色々出逢い、相当興味を持ったことを思い出した。マンザナーの日本人収容所を撮ることになる宮武東洋などが中心人物。ピクトリアリズムといっても、半分モダニズムが入っていて(日本で「構成派」と呼ばれた淵上白陽とかに近い感じ)、なかなか面白い。彼らの写真はPictorialism in California: Photographs 1900-1940で見ることができる。写真研究会でも一度、「ピクトリアリズム考――カリフォルニアと日本」ってタイトルでちょっとした発表をしたことがある(その時のまとめはこちらでpdf化されています→pictorialism.pdf)。また一度このあたりも調べてみようかな。
こういう本も前買ったまま、研究室の本棚に眠っている。また読んでみよう。
Imaging Japanese America: The Visual Construction of Citizenship, Nation, and the Body
- 作者: Elena Tajima Creef
- 出版社/メーカー: NYU Press
- 発売日: 2004/01/01
- メディア: ハードカバー
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タミコ・ティールさんという、マンザナーの日本人収容所を主題として映像作品などを制作しているアーティストと以前京都でお会いしたことも思い出す。彼女のサイトはこちら→Tamiko Thiel: Online Portfolio augmented reality art virtual reality art in public space Manifest.AR Connection Machine supercomputer Thinking Machines。Beyond Manzanar等の作品を見ることができる。
気がつけば国宝ローズから、いろんなことをとりとめもなく思い出してしまった。