展覧会漬け

「展覧会なんか大嫌い。あれこそ厭な近代的制度。そのかわり、家で夜中に拡大鏡で図版を徹底的に見る」とは昨日のシンポでの高山宏氏のお言葉。僕もその気持ち分からないではない。でも今日は朝から展覧会のはしご。
上野の東京芸大の美術館@午前10時。「再考:近代日本の絵画 美意識の形成と展開」展(http://www.smma-sap.or.jp/modernism.htm)の開場と同時に入る。と、同志社における僕の指導教授お二人と邂逅。そのまま一日行動をともにする。いわゆる教科書的な「名品」揃いだが、たぶんテイト・モダンを意識したのだろう、テーマ別(クロノロジカルではあるが)の展示でなかなか面白い。一番最初の部屋にあった旭玉山作の人体骨格模型が秀逸。20cmくらいの骨格模型が、小さな長椅子に腰掛けている。可愛い。それからやっぱり高橋由一は面白い。漆絵のように妙にピカピカした《甲冑図》とか、存外あっさりしていた《鮭》とか。中村彝も、やけに目を惹きつける。
そのあとせっかく隣でやってるんだからと、都美の「栄光のオランダ・フランドル絵画展」(http://event.yomiuri.co.jp/2004/S0178/top.htm)。ウィーン美術史美術館のコレクション(しかしこの館はよく色々まわすなぁ)。フェルメールの《画家のアトリエ》が目玉。でも柵があって、人も多くてよく分からなかった。ヤン・ステーンの風俗画が面白かった。これは近くで覗けたし。ここもテイト・モダンを壁だけ真似して、白ではなく、真っ赤っか。
昼食後、都現美に移動。久しぶりに行ったけどやっぱり遠すぎ。「近代日本の絵画」展の第二部を見る。芸大に比べ、展示に一ひねり加えられている。大きな壁一面に18列x4行で、東京芸大の卒業制作の自画像をずらっと並べていた(http://www.smma-sap.or.jp/mm5left.jpg)のが圧巻だった。強烈。また1910〜30年代の視覚文化における「何でもあり」状態を再認識。右(「美人画」とかコロニアル絵画とか)から左(ダダとかプロレタリアート絵画とか)まで、まさに「ワレメ・ヤキトリ・ソトウマ」全部ある怖い麻雀みたい。
そのあと常設展を見て、さらに「YES オノ・ヨーコ」展。でもあまりにも疲れ果てていて、ちゃんと見ることができず残念。疲弊した身と脳に、コンセプチュアル・アートはきつかった。ゆっくり見たかった・・・。
現美からバスに乗って東京駅へ。学会2,3日目サボって御免なさい。ルースターズとRCサクセションをBGMに京都へ到着。