都々逸

最近、蝉の声を聞いていて、こんな都々逸を思い出した。

・恋に焦がれて鳴く蝉よりも 鳴かぬ蛍が身を焦がす

巧いね。
都々逸とは、1840年代くらいから流行りはじめたもので「流行俗謡の一。雅言を用いず、主に男女相愛の情を口語をもって作り、ふつう七・七・七・五の4句を重ねる」と『広辞苑』にある。人口に膾炙しているものとしては

・立てば芍薬座れば牡丹 歩く姿は百合の花

というのもあるし、また高杉晋作が作ったといわれている

・三千世界の烏を殺し 主と朝寝がしてみたい

というのもある。落語を聞いていたらいろいろ出てくる。だいたいは「七・七」で振っておいて「七・五」で落とすというパターンである。僕に当てはまるものとしては

・お酒呑む人花なら蕾 今日もさけさけ明日もさけ

アンダーラインを引いた言葉が掛詞になっている。分かるでしょ。
もちろん、エロティックなものも多い。今日、中島らもの名作『超老伝:カポエラをする人』ISBN:4041863015み直してたら二つほど出てきた。

・入れておくれよ痒くてならぬ 私一人が蚊帳の外
・黙ってさせれば臍まで濡らす いたずら坊やの水遊び

前半で想像させておいて、後半で落とす。ちょっと話が下がったので、綺麗なところで

・私の心は藁葺き屋根よ かわらないのを見て欲しい

では、おあとが宜しいようで