「痕跡」展

展覧会「痕跡:戦後美術における身体と思考」(→http://www.momak.go.jp/SengoArt_j.html)を見に行った。なかなか刺激的なタイトルだし、期待大であった。作品も面白いのが多かったし、今回は(八木一夫展とはちがい)、キャプションも解説も丁寧でよかった。最近流行りの、クロノロジカルに、あるいはスクール、運動別に作品を並べるのではなくテーマを立てて再構築するタイプの展覧会。これまであまりまとまって見たことのなかった「ウィーン・アクショニズム」など面白かった。
ただ、「痕跡」の概念を広げすぎたのかな。クラインの《人体測定》とか、高松次郎の「影」のドローイングなど、いわゆる「痕跡」=インデックス的なものとして語られるもの、あるいはアクション・ペインティングのように行為の痕跡として語られるものまではいいが、どう「痕跡」と結びつけられるのかわからない作品も多かった。すこし迷子になった感じ。あと、作品おおすぎ。ちょっと疲れた(しかも強烈な作品が多かったし)。
図録(大部で2000円)はよさそうである。リチャード・シフやディディ=ユベルマンの論文も収録されているし、制作者データも充実している。