音楽について語る

id:kaerusan:20050315さんによるiPod時代における音楽の問題についての示唆的な文を読んだ。で、思ったのが、これまでの音楽評論(レコード評論)って、レコードという複製技術を透明なものとして、語ってきたものが多かったように思う。もちろんオーディオ・マニアというのはいて(僕の父もその気があった)、それはそれで成り立っているのだが、どうも、複製とその対象の問題というのをうやむやにしてきたように思える。しかしかえるさんの文や、そのなかでも言及されている『ユリイカ』の「ポスト・ノイズ」特集、あるいは先日買った『音楽未来形―デジタル時代の音楽文化のゆくえ』などを読んでいると、そうした問題と正面切って向かい合おうとする言説がようやく目に付きだした。渡辺裕『日本文化 モダンラプソディ/渡辺裕』もそう。このあたり、美術史と写真の問題とも複雑に絡み合う。僕自身は、そういった問題を考えはじめたばっかりで、まだ何もまとまっていないのだが、とにかくこうした言説によって音楽について語る地平が開けていくのは、大歓迎である。