ジャズにおけるスペイン

今、コルトレーンの『Ole』(1961)を聴いている。ドルフィーのフルート・ソロがたまらない。
で、ふと思ったのだが、60年代のジャズにおいて、スペイン風のメロディーをテーマとしたものがいくつかある。たとえば、マイルスの『SKETCHES OF SPAIN』(1959、必殺仕事人!)とか、チャーリー・ヘイデンの『Liberation Music Orchestra』(1969)とか。従来のジャズのテーマであった、西欧の音楽をベースとしたアメリカ音楽(いわゆるスタンダード)やアフリカ系アメリカ音楽(ブルースなど)以外のオルタナティヴとして、ヨーロッパ古典音楽の「周縁」であったスペインが召還されたのであろうか。ローチ/ブラウンが「アラブ風」のメロディを使ったのとは、少し違うような気がする*1。周縁同士の連帯だろうか。
「発見」されるスペイン音楽。なかなかに興味深い。おそらく使われているモード(旋法)やハチロクのリズムも重要であったと思うけれど、それ以外のポリティカルなものもありそうだ。
そういえば、80年代にスーパー・ギター・トリオの一員として、ジャズ・ファンにとっては無名であったパコ・デ・ルシアが登場したときの衝撃っていうのもあった(『フライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ~スーパー・ギター・トリオ・ライヴ!』)。

*1:彼らのは、いわばハリウッド的エキゾティズムであり、それはそれで面白い(マーティン・デニーYMOが面白いと同じような意味で)のだが