『日本映画はアメリカでどう観られてきたか (平凡社新書)』

昨日、話題にした本を早速入手し、ざっと読む。アメリカにおける日本映画の受容史というだけでなく、アメリカにおけるフィルム・スタディーズの変遷(文化論的批評→作家主義カルチュラル・スタディーズ)が手際よくまとめられていて、映画批評の方法史の入門書としても使える。さらには、戦後日米関係の推移や、ルース・ベネディクトなどの「日本人論」やエドウィン・ライシャワーなどの「近代化論」などアメリカに於いて「日本」を扱う上で用いられてきたヒストリオグラフィについても、映画批評の方法とセットになって語られていて、コンパクトながら、内容は濃い。一方で、著者自身も再々認めるように、「大雑把にいうと○○とは・・・」というものが多いが、新書というヴォリュームを考えると、致し方のないところだろう。
ついでに本質主義的な「日本人論」、「日本文化論」批判の本を数冊。他にも色々あったと思うが。日本人とユダヤ人を比べたり、「この国のかたち」とか口走ったり、「タテ社会」とか「甘え」とか言う前に。