『写真以前』

大学に行く。採点のために山と積まれていたレポートを紙袋にまとめ、本を整理する。あと、大学のウェブ・サイトに載せるために学生が書いた展覧会評の添削+指導。
大学に本が届いていた。Peter Galassi, Before Photography: Painting and the Invention of Photography, The Museum of Modern Art, New York, 1981.
ガラシは、ジョン・シャーカフスキーを嗣いだMoMA写真部門のキュレーター。写真の特異性、本質を追究し、モダニズム理論を打ち立てたシャーカフスキーの路線を継承しつつも、ガラシは写真を西洋美術史の伝統に組み入れるという作業を行った。写真は、19世紀にポンッと出現したのではなく、それ以前の視覚の変容の伝統を受けついで必然的に登場したものなのだというのが彼の主張。その主張は、写真を美術史の伝統に押し込めるものであると、ロザリンド・クラウスらによってさんざん批判されてきた。確かに「写真とは、科学によって芸術の軒先に捨てられた子ではなく、西洋の絵画的な伝統の嫡子である」という言い様は非道い。旧民法みたいな言い方。とはいえ、読まずに批判するのも何なので、読んでみようと古書で取り寄せた次第。感想は読後にアップするが、絵画、パノラマ、写真という展示作品の選択はそうとう面白そうである。

Before Photography: Painting and the Invention of Photography

Before Photography: Painting and the Invention of Photography