ハチクロ

学生のレポートでよく採り上げられていた羽海野チカハチミツとクローバー 1 (クイーンズコミックス)〜(8)』を大人買い。絵もすっきりしているし、コマ割りが少年マンガに近く、さほど複雑ではないので、少女マンガのリテラシーが低い僕などにも読みやすい。『のだめカンタービレ』の音大に対して美大か。二つ併せて芸大になるな。
ストーリーの面から見ると、『のだめ』の重点があくまでも主人公たちの「成長」に置かれている(スポ根的ともビルドゥングス・ロマン的ともいえる)のに対して、このマンガではあくまでも「成長」はない。一応、時間は流れているんだけど、卒業した人間(メガネ男子)も相変わらず登場するし、基本的な人間関係(二つの三角関係)はあくまでも閉じられたかたちで、ほとんど進展がないというのがミソなんだろう(まだ4巻までしか読んでないが)。『ふぞろいの林檎たち』か?
で、音大であるということが重要な『のだめ』に対して、ここでは美大っていうのは、単なるセッティングに過ぎない。閉じたサークルであれば、まあ文学部でも経済学部でも、あるいはあるバーの常連たちでも成り立つ話だろう(医学部でも・・・『ヒポクラテスたち [DVD]』か。あれは、そうした閉じたサークルが崩壊するのだが)。
で、そのなかで出てくる若い(30過ぎ・・・しかし、就職早いな)の美術史の教員。いまいち専門が分からない。その学校出身らしいから、芸術学の専攻がある美大なんだろう。「芸術家になる夢を諦めた」ようだから、院は外に行ったのかもしれない。「デザイン史研究室」って書かれているから、そっち系と思いきや、彼のかつての指導教員の著書は、『少数民族地域の都市』と歴史学/地理学っぽい。で、その指導教員のフィールド・ワークに付き合って、モンゴルに行くと。なんなんだろう。考古学系なのか? 建築史って線もあるか? しかし、制作系の学部の理論担当教員・・・どっかで聞いたような話である。
ギャグに関しては、『のだめ』ほどのキレ方はないものの、「鉄人」山田のかかと落としのファンたちや、商店街の三代目たちなどの繰り返しネタは、なかなか良いモン持ってる。
はぐちゃんって何かに似ているなと思ってたら、『ぶっせん 1 (モーニングデラックス)』の小坊主(正助)に似ているんだった。