隠れていたものが現れると
トマソンは駐車場に多い。駐車場にするために建造物が壊されることによって、その隣の家の外壁が露わになるからだ。ファサードっていうのは、「顔」という隠喩で表されるように、いつも見えているものだけど、建物の横--とくに京都のように家と家が接触して建っている場合--は、見えないことを前提に作られているから、まあ大体手が抜いてある。それがずるりと見えてしまうからこそ、トマソンも現れやすいのだろう。
この家の場合は、一見となりの家の痕跡に見えるけど、実はどうも屋根の上に部屋を建て増しした結果、本来の屋根が埋もれてしまったケースだろう。で、それが隣の家が壊されることによって可視化されてしまう。隠れて安心しきっていたところが、いきなり白日の下に晒されて、なんとなく家も恥ずかしそうである。