神山光洋「Zoo」

一昨日のエントリ動物園写真 - 蒼猴軒日録で動物園写真について書いたら、かずみちさん(コメント欄で「人間動物園」について)、福居伸宏さん「劇団ひとり」が“ふたり”だったころのチーマーネタが見たい! - Übungsplatz〔練習場〕からトラバ)から、さまざまな情報を頂きました。ありがとうございます。チェックしていこう。


福居さんの挙げておられるさまざまな動物園写真のなかで、とくに気になったのは、神村光洋さんhttp://www.ac.auone-net.jp/~kamimuraによる「Zoo」というシリーズ作品。J・バージャーの「なぜ動物を観るのか?」(『見るということ (ちくま学芸文庫)』)からの引用からはじまるこの作品群においては、中にいるべき動物のいない動物園が写し出される。檻や展示場所は、動物がいれば、さほど気にならないが、動物がいないことによって、「つくりもの」っぽさが一気に前景化してくる。これは展示論のみならず、風景論にも深く関わる問題だと思う(生物の生きる「環境」とその表象という意味で)。ウィノグランドとは、別のやり方で、視線の場としての動物園を浮き彫りにする作品群だと思う。
ほかにも、建物の痕跡を崇高に表象する「壁」シリーズや建物に映る光を撮る「Spectrograms」シリーズ、渇き切って殺伐とした桑原甲子雄といった観のある「街」シリーズなど、琴線が鳴りまくる写真ばっかり。


バージャーの文に図版として用いられているジル・エローの動物園写真も探さなきゃ。