築地本願寺と貨幣博物館
こないだの東京行きで行ってきたところ補遺。
築地本願寺
仕事は、築地であったので、帰りに少し足を伸ばして。
昔々、東京に行った頃、この建物の前を通って「何じゃこれ」と思ったが、それから長い年月が経って再訪しても、やっぱり「何じゃこれ」だった(その内実は当然違うが)。怪建築家・伊東忠太による世紀の大キッチュ。仏教だから「インド」様式って……(このあたりって、岡倉天心だの、大谷探検隊だの、果ては大東亜共栄圏だの、さまざまな日本近代の妖怪たちが絡んでバトル・ロイヤルをしている状態で、面白い)。作った方も凄いけど、作らせた方(大谷光瑞)も凄い。
京都の平安神宮(これも伊東)と並んで、東西二大キッチュだと思う。でも、平安神宮がキッチュではないかのように偽装しているのに対し、これは堂々とキッチュを主張するところが潔い。
伊東忠太おなじみの「動物」も。時間が遅かったので、中には入れなかったが、もっといろいろいるみたい。
伊東忠太については、たとえば以下の本。
- 鈴木博之編『伊東忠太を知っていますか』
- 藤森照信編『伊東忠太動物園』
ここも参照。
- 10+1 website|テンプラスワン・ウェブサイト|Photo Archives|36 伊東忠太
- 伊東忠太 - Wikipedia
- 慶應三年生まれか……。漱石、外骨、熊楠と同い年だ(慶応三年生まれというネタに関しては、坪内祐三『慶応三年生まれ七人の旋毛曲り―漱石・外骨・熊楠・露伴・子規・紅葉・緑雨とその時代』がある。未読だけど)。
貨幣博物館
泊まったところが日本橋だったので、東近美が開くまでの時間にちらっと。
日銀の別館にある小さな展示室。別にどうってことはないけど、そして人もいないけど、結構楽しめる。こういう展示施設って、官庁のものとか企業のものとか、日本中数え上げたら相当あるけど、なかなか味があるところが多い。
この博物館の設立に、渋沢敬三が、民俗学者としてではなく、日銀総裁として関わっていたというのが一番のネタかな。田中啓文という人の大コレクションを、渋沢が引き受けたらしいのだが、実業家としての渋沢と、アチック・ミューゼアム(http://www.minpaku.ac.jp/special/200103/)を作ったコレクターかつ研究者としての渋沢の交点にあるのが、この博物館かもしれない。
ところで、古銭コレクションって、切手(「郵趣」っていうらしい)と並んで、個人のコレクションを考えるうえでは重要なものだと思う。今でもデパートには、古銭・切手コーナーがあるし。だれか研究しないかな?