落語ミステリー

ヤンキーでパンクスの主人公がムリヤリ上方落語の大御所の内弟子にさせられて……って言うとまるであのドラマだけど、『タイガー&ドラゴン』よりこっちの方が古いらしい。で、相当面白かった。一応、短編ミステリーなんだけど、それよりも出てくる人物――なんといっても、明らかに六代目笑福亭松鶴がモデルとなっている師匠――の巻き起こすスラップスティックが面白い。なんとなく昔の筒井康隆中島らものヒステリックな笑いを思い起こさせる。その一方で、主人公のビルドゥングスロマンという側面もあって、二冊目ではそっちの方が全面に出たかな。とにかく落語好きにはお薦め。「落語も笑い取るためには新しいことせな。顔を白う塗ったり、ナスビ頭に乗せたり」みたいなセリフがあって、笑うた(若き日のコエピョン!)

笑酔亭梅寿謎解噺 1 ハナシがちがう! (集英社文庫)

笑酔亭梅寿謎解噺 1 ハナシがちがう! (集英社文庫)

ハナシにならん!―笑酔亭梅寿謎解噺〈2〉 (笑酔亭梅寿謎解噺 (2))

ハナシにならん!―笑酔亭梅寿謎解噺〈2〉 (笑酔亭梅寿謎解噺 (2))

しかし文庫判になった一作目のかわいいパンクスのイラストと、もとの凶悪ハードコアなイラスト。どっちが良いかな?


この著者、なかなか面白い。タイトルのセンスもいい。『蹴りたい田中 (ハヤカワ文庫 JA)』には笑わされた。