吉本新喜劇のテーマ

あの「プンワカ・プンワ・プンワカ・プンワ」の曲って、なんとなく浪花のモーツアルトの作曲だろうなぁと思っていたら、全然違って、「サムバディ・ストール・マイ・ギャル」という1918年の曲で、ピー・ウィー・ハントによるヴァージョンが使われているというのを、今日、新喜劇 - Wikipediaを読んでてはじめて知った。
どうやらディキシーランド・ジャズの曲でスタンダードになってるらしく、iTMSで検索してみたら何と78ヴァージョンも登録されている。中には、ビッグス・バイダーベック、ベニー・グッドマンキャブ・キャロウェイカウント・ベイシーフレッチャー・ヘンダーソンファッツ・ウォーラーなど、そうそうたる人々によるヴァージョンもある。すげぇ。ちなみにallmusicで検索を掛けてみると164も出てきた(同一録音、別盤収録も含む)→Song Search Results for: SOMEBODY STOLE MY GAL


ただ、例の印象的なミュート・トランペット(ワウワウ・ミュートかな?)を使っているのは、ピー・ウィー・ハントのヴァージョンのみらしく、他のヴァージョンを試聴でいろいろ聞き比べてみたが、典型的なディキシーの曲であって、いろんなアレンジがあるものの、とりたててコミカルな印象はうけない(多分、他のヴァージョンを聞いても、もしかしたら気付かないかもしれない)
ミュート・トランペット、とくにワウワウ・ミュートは、さまざまなコメディー・サウンドに使われていて、日本でもクレイジー・キャッツや、先述のキダ・タローなんかは非常に効果的に使っているわけだけど、さて、あれはどの程度のレヴェルで、「滑稽」というカテゴリーに結びついているんだろう。ある程度文化的なものなのか、それとも結構ユニヴァーサルなものなのか。完全に滑稽さが内在的である――すなわちどんな人が聞いても、あの音が滑稽である――とは言えないと思うんだけど。なんか分析美学の話みたいになってくるな。渡辺裕氏の「音楽表現とメタファー―「この旋律は悲しい」の構造」(『美学』143)を読み返してみなくっちゃ。

しかし、このピー・ウィーさんも、まさか自分の録音が、遙か海を渡った日本で、大阪の笑芸シニフィアンとなるとは、思いもしなかったろう。