寅さん

旅と移動と観光と映画というネタになるかと思って、見てみた。シリーズのいくつかは、テレビでちらちらみたことはあったけど、そんなに真剣に見ていたわけじゃない。とくに第一作目は必見という話もあったし。

男はつらいよ [DVD]

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やっぱ、ただただ良くできていて、面白かったし(もちろん「保守的」映画であることには変わりないとは思った)渥美清の大コメディアンとしての片鱗も垣間見られた井上ひさし小林信彦によると全盛期はすごかったらしい)のだけど、いろいろと考えておきたい点が。

  • 共同体から逸脱した人間(地理的にも階層/階級的にも)が、共同体から出ては戻り、戻れば出て行くという点。さんざん指摘されているところだとは思うが。
  • 寅次郎が旅する場所と観光ブーム――のちの「ディスカバージャパン」からアンノン族へと続くブーム――との関係(第一作では、奈良だけど、それほど「観光映画」しているわけではない。これは第二作以降に顕著になっていくんだろう)
  • 柴又自体の場所性の構築と観光(これはこの映画の外での話だろうが)。柴又の柴又化→http://www.shibamata.jp/index-2.html
  • ノスタルジアの問題。69年の東京といえば、中心部は完全に都市化していたわけで、しかも東京オリンピックによる都市大改造のあと。さくらの職業はキー・パンチャーだし(IT化のはじまりか)。そうした近代から疎外された場所としての柴又と疎外された人間としての寅次郎。東映任侠映画との比較も。

ばらばらだけど、とりあえず思いついたこと。
小林信彦おかしな男 渥美清 (新潮文庫)』も読み返さなきゃ。