Draftsman's Pencil

都市と建築をテーマにした写真作品を集めた展覧会。トールボットの「自然の鉛筆」をもじった「製図家の鉛筆」というサブタイトルを持つ。
とくに「川の連作/シャドウ」に見入る。以前発表されていた6×12フォーマットの「川の連作」と同じ所を撮ったものだろうが、川面だけを、しかも上下をひっくり返して展示されている。そしてその川面が鏡面となって、都市の姿が、正立像でぼんやりと映る。都市のネガとしての川面の影。「上下をひっくり返して」と書いたけど、カメラの中、あるいはピント・グラスに映る像は、当然上下逆な訳で、そのように考えると普通の正立像と思われる写真こそ、上下をひっくり返して展示されていると言える。となると、都市自体がネガで、川面に映る影じたいがポジなのかもしれない。てなことを考えながら、浸る。
↓の本の表紙に使われている写真。
写真との対話

他にも、模型を撮った写真が本物の建築に見えたり、現実の建築なのになんとなく模型に見えたりもする。写真のメタファーとしての都市、あるいは都市のメタファーとしての写真。


同時に行われている鷲見和紀郎:光の回廊展の《EVIDENCE》という作品とも呼応する。