アメコミ
以前、「私たちはアメリカンコミックスというメディア、文化について知っているような振りをするのはいい加減やめるべきだ」という刺激的な言明ではじまる小田切博『戦争はいかに「マンガ」を変えるか―アメリカンコミックスの変貌』をパラパラと読んで、アメリカン・コミックスの歴史や現状についてもっと知りたいなと思って、注文掛けたDVDが昨日届く。
- 出版社/メーカー: ナウオンメディア(株)
- 発売日: 2007/05/25
- メディア: DVD
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1933年の最初のコミック・ブック発刊から、スーパー・ヒーローの登場。大戦期の愛国的コミックスの流行。50年代におけるホラー/犯罪コミックスの隆盛とそれに対する検閲/規制の動き。60年代におけるコミックスのアンダーグラウンド化(『MAD』誌におけるパロディーやサイケデリック・カルチャーへの接近など)。コミックスの世界における女性の問題や80年代のオルタナティヴ市場の成立、アート・スピーゲルマンに代表されるアートへの接近なども面白い。
コミックス文化というのは、日本のマンガ文化と比べても、よりサブカルチャー色が強いのではないかと感じられた(ロックとか、プロレスとか、Sci-Fiとかとも共通するかも)。本気で悪趣味というか、反高踏的というか。そういえば、パンクとかサイコビリー系とかスラッシャー系のバンドにコミックスをジャケットに使うバンドが多いのも、その辺りの親近性があるんじゃないかと思う(ちなみにBGMが無茶苦茶格好いい。Drジョンからはじまり、ガラージ系とかロカビリーとかサイケデリック・サウンドなどが続く)。
クランプスとかミスフィッツとかのバンド・ロゴって完全にコミックスの字体(『テールズ・フロム・ザ・クリプト』とかの)だし。
考えてみると、メタルとか、パンク(とくにサイコビリー)とかのホラー趣味って、ホラー・コミックスからの影響が一番大きいような気がする。
サイコビリー好きでアメコミ好きの友達、おったなぁ(今は立派なグラフィック・デザイナー)。
だから、アメリカのミュージシャンで日本のマンガをジャケットに使った例もいくつかあるけれど、それは日本にいる人間がマンガに対して感じるよりも強烈にサブカルチャー的なものなのではないだろうか。
そういや日本のパンク・バンドがコミックス系のキャラクターをジャケットなどに使うことは、マンガ文化の枠内で考えるより、コミックスとパンクを含む英米系のサブカルチャーとのつながりで考える方がいいと思うし。
↑のtheピーズの1st2枚のジャケットを描いたジャコフさん(デビュー前のチラシとか全部彼のアート・ディレクションだった)、今どうしてるんだろう。彼の作、大好きだった。
マンガ文化とコミックス文化の差異を見ることは、最近、より多くなってきたように思える「マンガ=日本のオリジナル文化」論を相対化するのにいいのではないかと思う。
↓もしっかりと読み直そう。まずは、新聞などにでるコミック・ストリップと単行本として出るコミック・ブックとは全く別物であること。そして、コミック・ブックにおいても、スーパーマン、スパイダーマンなどのメジャーなコミックスと、アンダーグラウンド/オルタナティヴ・コミックスとの差は想像以上に大きいこと(後者が、パンクなどのサブカルチャーと強力に結びついているのだろう)を把握して。
戦争はいかに「マンガ」を変えるか―アメリカンコミックスの変貌
- 作者: 小田切博
- 出版社/メーカー: NTT出版
- 発売日: 2007/03/01
- メディア: 単行本
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