『先生とわたし』

買ったまま、本棚に突っ込んでいた四方田犬彦先生とわたし』をようやく読了。おそらくソンタグの翻訳者として、あるいは高山宏氏の文を通じてしか知らなかった由良君美という人物の魅力を、ときには愛情を込め、ときには辛辣に描いている。面白くって一気読み。その父である由良哲次の話も面白い。ボクは『浮世絵類考』の校訂者という知識しかなかったが、カッシーラーに教えを受け、カッシーラー亡命後、彼の学位記にサインをしたのがパノフスキーだったなどという殆ど神話的、パンテオン的としか思えないような話に驚く。
由良君美は、「風景画とナショナリズム」という文を書いているらしい(『みみずく古本市 (1984年)』所収)。一度読んでみよう。