カウンター・ブリコラージュ
子供服。明らかにジェイミー・リードのグラフィック・デザインにおける新聞文字の切り貼りの意匠を持ってきて、「パンク的」という意味作用を狙ったものだろう。
非制度側の行うブリコラージュ的なものを、制度側が流用することを「カウンター・ブリコラージュ」と言うが、これもその例か。
いや、待てよ。新聞文字の切り貼りっていうのは、もともとは筆跡を隠すために誘拐犯などが行うもので、リードの場合は、それを流用して、レコード・ジャケットという商品にしたわけだから、すでに一種のカウンター・ブリコラージュになっている訳か。ただ、それをリードが用いて、パンクの代表格のセックス・ピストルズのジャケットに使い、それが普及した段階で、「犯罪」という意味は薄れ、「パンク」という新たな意味――コノテーション――を得たわけだから、意味の横滑り、上書きという方向でも考えられるな。
しかし、子供服にパンクって、時代は変わったもんだね。これを着せている親の顔が見てみたい。ってオレだ。
ちなみに、ジェイミー・リードは、1947年生まれ(もう60歳か!!!)のアーティスト。マルコム・マクラーレン(ピストルズのマネージャー)とともに、フランスのシチュアシオニストの影響を受けて、制作をはじめる。今も元気に活躍中→My Account | .xyz | For every website, everywhere®。
ついでにパンクとシチュアシオニストの関係については、
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