マーク・スチュワート続報
iTMSで、こんなのを見つけた。
Adam Sky vs Mark Stewart, "We are All Prostitutes"
ザ・ポップ・グループの名曲のエレクトロニカ・ヴァージョン。「アダム・スカイ」って誰だ、アダムスキとは別人?と思って調べてみたら、アシッド・ハウスのアダムスキが改名しただけのことらしい。音は……、悪くはないけど、やっぱり彼の声には、エイドリアン・シャーウッド師匠の邪悪なダブが一番合うなと思う。
"We are All Prostitutes"の歌詞の粗い訳を載せておこう。
我等は全て娼婦である
皆それぞれ自らの価格を付与されている
そして君も嘘の生活を生きることになるであろう
侵略・競争・野望
消費者によるファシズム
資本主義は、全ての宗教の中でも最も野蛮なものである
百貨店は我等の新たな教会である
我等の自動車は資本主義の殉教者である
我等は全て娼婦である
我等の子は我等に対して反逆するであろう
なぜなら我等こそが責められるべき者であるから
子等は我等に新たな名を与えるであろう
我等は偽善者と呼ばれることになるであろう
当時、20歳前後であった彼が、どのような本を読んで、どのような思想に触れて、上記の歌詞を紡いだのかは分からない。ただ、同時代のネオ・マルクス主義やら、シチュアシオニストの考えやらが入っていた可能性はありそう。「娼婦」というメタファーのジェンダー的な当否は、ここでは措いておくとして。
【追記】音の面に関していえば、バンドメンバーによる痙攣ファンクもさることながら、ゲストとして参加しているトリスタン・ホンジンガー――デレク・ベイリーとか、近藤等則などと共演しているフリー・インプロヴィゼーションのチェリスト――によるフリーキーなソロが、緊張感を挿入していて面白い。
で、もう一度、上の新ヴァージョンに戻ると、ジャケットはなかなかいい。
ちなみに、ザ・ポップ・グループ〜マフィア〜マーク・スチュワートのジャケット・デザインは、ほぼ全部格好いい。並べてみよっと。
複製イメージやテクノ・イメージの無気味さを強調しているものが多い。収録されている曲のざらざらしたテクスチュアと見事に同期している。