鎌田祥平個展「Collection」

去年まで精華のドクターにいた鎌田くんの個展を見に行く。


鎌田祥平個展「Collection」


まず最初の作品は、本堂の本尊の手前、アクリル・ケースに入れられておかれた二体の仏像。右のものは、作者が手に入れた古い仏像(いつ頃のものだろう?)、そして左はそれから型取りした樹脂製の複製。お寺の本堂という空間に仏のイメージがただ置かれているなら、それはまさに信仰の対象としての仏像――仏の代理物としての像、いや仏そのものかもしれない――なのだが、それが、美術館を思わせるアクリル・ケースという装置に入れられていることで「美術」のカテゴリーに移動しているようにも感じる。でも、そこは仏堂。という入れ子状に場とモノがズレながら存在する不思議なインスタレーションになっていた。さらにそれを樹脂で複製した左の仏像。これの身分がまたややこしい。樹脂は透明なのだが、途中ですこし色がついたり、にごっていたりで、距離を置いてみるとなんとなく瑪瑙や玉のようにも見える。



もう一つの作品は、墓所に置かれたガラス製の墓。妙にさわやか。


これまでの天然石と樹脂という素材と格闘してきた鎌田くんだけど、なんとなく「寺」という場所を幸運にも得て、サイト・スペシフィックな取組をしてみることによって、ちょっと抜けたかなって感じもした。さあ、これでホワイト・キューブに戻ったときにどういうことになるか。評価はそこでなされるかな? 


いうまでもなく、会場であった百丈山石峰寺は、黄檗宗の古刹。伊藤若冲が晩年を過ごしたことで知られる(墓もある)。裏山に若冲が下絵を描いたと謂われる石仏群――五百羅漢――があって、そこも回る。


決して迫力があるとは言い難いが、どことなくユーモラスな石像が、とにかく数限りなくあって、面白い。すべてヴォリュームはなく、平面的で、そういうところを見るとやはり絵師の発想かなって感じがしないでもない。

鎌田君とジャクチュウ君。全然、時代もコンテクストが違う二つの展示が一緒に見られるってことで、お奨めです。遠足気分でどうぞ。


見終わったあと、ツレアイ、コザルともども方丈に上げていただき、お茶をいただく。しばらく鎌田君相手に18世紀に京都での黄檗/煎茶/文人画/シノワズリなどについてうだうだと話をし、辞去。で、子供の頃ボク自身もよく連れて行って貰った藤ノ森の青少年科学センター(京都市青少年科学センター | Kyoto Municipal Science Center For Youth)へ。


そしてプラネタリウムを久しぶりに見る。ちょうどやっていたのは、子供用の「ちびっこプラネタリウム」。「夏の大三角」とか「秋の四辺形」とか、すっかり忘れていたよ。最後にちょっと見せてくれた、月周回衛星「かぐや」の月表面俯瞰動画はすごかった→月周回衛星「かぐや(SELENE)」 - TOP
機材の所を覗いたら、コンピュータもさすがに導入されていたが、昔ながらの可動スライド・プロジェクターなども使っていた模様。ファンタスマゴリアとの関係も含めてプラネタリウムの歴史も調べたら、講義でも使えそう。