杉本博司展+大西正一展

よくできた――色んな意味で「できすぎた」とも言える――展覧会、「杉本博司:歴史の歴史」を見に行った。凹面の壁にしつらえられた「海景」シリーズの展示は、ライティングも含めて見事。楽しみにしていた「放電場」シリーズは期待に違わず面白い。ただ、そこにマン・レイのよるデュシャンの肖像写真と鎌倉の《雷神像》と、壊した鏡を置き、さらにテクストでトルボットにまで言及するのは、いくらなんでも盛りだくさんすぎ/やりすぎのような気がした。まあ、ある人に言わせれば、「それが杉本さん」らしいけど。
とにかくシアトリカルなんだな。森美術館行ったときにも感じたけど、完成されていて、それでちょっとやり過ぎてしまうような。大時代的なシェークスピアの演劇――およびそれを模したジョニー・ロットンの身振り――を思い出す。なにしろ自身の作品と自身のコレクションで、宗教から日本から人間から宇宙まで全部表象しようと言うんだもの。面白かったけど、疲れた(なんやかや言っても、もちろん見ておく価値はある)
それはそれとして、いいモノ持ってるなぁ。明恵とか、紺紙銀泥経とか、古面とか、参詣曼荼羅とか。隕石や化石のコレクションも凄かったし。


歴史の歴史

歴史の歴史

  • 今回の図録は、↑とはまた別ヴァージョン。


移動して「The Third Gallery Aya - Exhibitions 大西正一「Sequence」」を見に行く。移動的視覚を切り取ったような写真で、なかなか面白かったデスよ>大西クン(って、これを見てるかどうか知らないけど)。シヴェルブシュ『鉄道旅行の歴史―19世紀における空間と時間の工業化』の解説で使わせてもらおうかな?