「アラン」・トゥーサン

70年代のアラン・トゥーサンのソロ作を聴いている。本籍地としては、当然自らが作り上げたニュー・オーリンズR&Bなんだろうけど、聴いていると、ソウルにもファンクにもサザン・ロックにもAORにも聴こえて、しかもそのどれにも属さないという点が面白くて仕方がない。リー・ドーシーが唄えば、途轍もなく粘っこくモタって地の底に引き込まれそうな「炭坑で働いて」とか「ワシの遣ることみんなファンキー」を、すっきりとお洒落に仕上げてしまうところとか。性格か金かなんかでネヴィル兄弟などとは仲が悪いっていう話を聞いたことがあるから、ナンギな人なんかもしれんけど。


From a Whisper to a ScreamLife Love & Faith サザン・ナイツ
しかし、『囁きから叫びまで』と『生・愛・信』と、その後の『南部の夜』との差異って凄い。「跳躍」っていってもいいかも。


↓の二作もよいね。アラン父さんと二人のイギリス人。
Sneakin Sally Through the AlleyRiver in Reverse (Bonus Dvd)
近年は、中島美嘉のプロデュースまでしたとか。


ところで、気になったのは、何で「アラン」さんなのかってこと。原綴は「Allen」。ぱっとこの綴りを見たら、普通「アレン」と表記しそうなもんでしょ。Allen Ginsbergは、「アレン・ギンズバーグ」だし。辞書で発音記号を確かめると、二つ目の母音は、「e」をひっくり返したヤツ。確かに、どっちかっていうと「ア」に近い音である。こっちの方が、もとの発音に近いのか。でもギンズバーグの例のように、「アレン」とした方が原綴が見えやすいから。それでもよかった訳で。う〜ん。
誰かが、原音に近く表記したんだろうな。でも、どっちにせよ、仮名で原音を完全に表記することは不可能なわけで、どちらを採るべきかってことなんだろう。正書法の問題。でもそれって難しい。「ブルース」か「ブルーズ」か、「アレサ」か「アリーサ」か、「タルボット」か「トルボット」か……
Teamは「チーム」だけど、Teaは「ティー」。これは、音が写された時代による差異だろうが、これは「ツール」か「トゥール」か、「ツーリズム」か「トゥーリズム」かって問題にも関わってくる。
最近、翻訳作業中なので、そうした細かいことが気になったのかもしれない。別にどうでもいいちゃあ、いい話でした。