SIとT・J、そしてマルコム
来年9月にT・J・クラーク来日とのツイートを読んだ。
The Painting of Modern Life: Paris in the Art of Manet and His Followers
- 作者: T. J. Clark
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言わずと知れたマルクス主義美術史の第一人者で、かつてのニュー・アート・ヒストリーの牽引者のひとり。上記は、コロンビアの19世紀フランス美術史のゼミで読んだ。
数年前、どういう機会だかは忘れたが、彼がシチュアシオニスト・インターナショナル(以下、SI)に関わっていたということを知った。それに関して、以前ツイートした(佐藤守弘(@bmonkey1966)/2010年04月09日 - Twilog)ことを思い出したので、ちょっとまとめておく。
- その前に、SIに関しての手短な紹介については以下を参照
彼は、60年代の後半にSIのイギリス分派(「細胞」といったほうがいいか?)のメンバーだった。彼が属していたのは、キング・モブ(King Mob - Wikipedia)というグループ。はじめはギー・ドゥボールらフランスのSIからも認められていたが、67年に除名されたとか。
キング・モブは、シチュアシオニストとストリート・ギャングの混淆のような感じで、グラフィティや、相当破壊的なパフォーマンスなどをやっていたらしい。テッズとスキンヘッズをけしかけて喧嘩をさせるというような無茶なこともやっていたらしい。
以下で連中の作ったポスターを見ることが出来る。うーん、見ただけでパンクの先駆け。
その後、クラークは方針を変えたのか、コートールド研究所で博士号を取得。現在は、UCバークレーの教授である。「尻を割った」訳ではなく、アカデミーの内部に入って、そこで革命を目指したのだと好意的に捉えたい。実際、ニュー・アート・ヒストリーは、確かに一時期「革命」ではあったのだから。
97年に彼は、かつての盟友ドナルド・ニコルソン=スミスとともに「なぜアートはシチュアシオニスト・インターナショナルを殺せないのか」という論文を『オクトーバー』(79、1997 年冬)に寄稿している。全文は以下で読める。
当時、おそらく下っ端としてキング・モブにいたのが、アート・スクールにいた故マルコム・マクラーレン、そしてジェイミー・リードであった。言うまでもなく、セックス・ピストルズの仕掛け人二人。前者はマネージャーで、後者はグラフィック担当。間違いなく、二人ともT・Jとは知り合いであっただろう。T・J、マルコムの訃報に接して、何か語ったのかな?
ダダ/シュルレアリスム→シチュアシオニスト→パンクという流れに関して指摘したのは、グリール・マーカス『リップスティック・トレイシーズ--20世紀の秘められた歴史』。
Lipstick Traces: A Secret History of the Twentieth Century, Twentieth Anniversary Edition
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Anarchy in the Uk: The Angry Brigade (English Psychogeography S.)
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で、その二冊の一部が訳されて、以下のムックに所収されている。
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SIについての89年のドキュメンタリー映像。マルコム、ジェイミーのコメントもある。3部に別れている。第2部では、まだなんとか「アート」の枠内にとどまっている頃の展覧会の模様も見える。
この映像の著作権がどうなっているのか知らないけど、著作権完全放棄を謳ったSI絡みだけに、まあええやろ。
著作権放棄だけにSI関係のテクストは、ネット上でなんぼでも見つかる。
日本語訳もあげている人がいる。
ギー・ドゥボール『スペクタクルの社会』の英語版。3D眼鏡のオーディエンスの写真の表紙がたまらん。
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そういやポップ・グループの「ウィー・アー・オール・プロスティトゥーツ」もシチュアシオニスト的な歌詞。
- 俺らはみんな娼婦だ/みんな値段が付いている/侵略・競争・野望・消費ファシズム/資本主義は最も野蛮な宗教だ/デパートは俺らの新たな聖堂/俺らの車は資本主義の殉教者/俺らの子供たちは俺らに反乱を起こすだろう/だって俺らこそ責められるべきだから/子供たちは俺らに新しい名を与えるだろう/偽善者・偽善者・偽善者と