「風景の呪縛」

拙著『トポグラフィの視覚文化論--江戸泥絵・横浜写真・芸術写真』(青弓社、2011年)の執筆こぼれ話のようなものを版元のウェブサイト内の「原稿の余白に」というページに載せました。よろしければご高覧の程を。


ついでに、久しぶりに再宣伝。ヨロシクお願いいたします。

    • 近代日本で都市や自然を写し取った江戸泥絵、横浜写真、雑誌メディア、芸術写真を素材にして、場所を描く視覚表象=トポグラフィが流通したことで人々は環境をどう意味づけ、消費したのかを解明する。近代期の絵画、写真や雑誌などによって編成されたイメージ群が、いまなお私たちのものの見方を規定していることをあぶり出す。
    • http://www.seikyusha.co.jp/books/ISBN978-4-7872-7300-0.html


小見出しレヴェルまで記載した目次は以下のとおりです。

佐藤守弘『トポグラフィの日本近代--江戸泥絵・横浜写真・芸術写真』

  • 序章 トポグラフィと視覚文化
    • 1 視覚文化論の射程
    • 2 本書の構成
  • 第1章 トポグラフィとしての名所絵----江戸泥絵における都市の表象
    • 1 泥絵の研究史
    • 2 名所絵というメディア
      • 虎ノ門外葵坂|コミュニケーション・メディアとしての名所絵|人事・風俗の不在--泥絵と名所浮世絵
    • 3 泥絵の形式面
    • 4 見晴らしと見通し
    • 5 流通する都市表象
      • 「絵は神明前」|江戸と大名屋敷|
  • 第2章 観光・写真・ピクチャレスク----横浜写真における自然景観の表象
    • 1 横浜写真小史
      • アルバムの構成|横浜写真とフェリス・ベアト|横浜写真の技術的側面|
    • 2 科学のまなざし、自然のスペクタクル
      • 地理学のまなざし|経験科学と写真|世界のアーカイヴ
    • 3 ピクチャレスクという規範
      • ピクチャレスク美学|コロニアル写真とピクチャレスク|他者の表象
    • 4 写真・観光・博覧会
      • 視覚装置としての万国博覧会|観光のまなざし|写真と観光|エントロピックな語り
  • 第3章 伝統の地政学----世紀転換期のマスメディアにおける京都の表象
    • 1 「太陽」と地理学的想像力
    • 2 消費される風景
      • マスメディアと読者|雑誌と移動的視覚
    • 3 過去に定位される都市
      • 近代京都のメガ・イヴェント|京都--日本のローマ、東洋のアテネ
    • 4 伝統の地政学
      • 二つの首都|平安奠都千百年紀念祭
  • 第4章 郷愁のトポグラフィ----一九一〇年代の芸術写真における山村風景の表象
    • 1 世紀転換期における芸術写真運動
    • 2 可視化される国土
      • 『日本風景論』のまなざし
    • 3 写生と風景
      • 写生と視の制度|風景の発見|鉄道と内国ツーリズム
    • 4 ピクトリアリズムと〈表現〉の神話
      • ピクトリアリズムと画面操作|内面と表現の神話
    • 5 ノスタルジアのメカニズム
      • 構築される〈故郷〉|都市病/懐郷病
  • 終章 風景からトポグラフィへ
    • 1 風景と文化概念の変容
      • 風景画史に対する批判|実践としての文化
    • 2 トポグラフィの視覚文化論に向けて
      • 心象地理|空間・場所・風景
  • あとがき
  • 索引