杉浦日向子論
『美術フォーラム21』24号に論文を寄稿しました。杉浦日向子の江戸表象について、発表当時--1980年代--の言説コンテクストと絡めて論じたものです。書誌情報は以下。
美術フォーラム21 第24号 特集:漫画とマンガ、そして芸術
- 作者: 美術フォーラム21刊行会
- 出版社/メーカー: 美術フォーラム21刊行会/醍醐書房
- 発売日: 2011/11/30
- メディア: 単行本
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特集は「漫画とマンガ、そして美術」で、京都精華大の同僚のジャクリーヌ・ベルントさんの編集によるものです。マンガ研究が自立したディシプリンとして確立し、成熟していく今、マンガ研究プロパーだけでなく、あえて隣接する諸領域、すなわち美術史、美学芸術学、アニメ研究、文学研究などの研究者にもマンガ論を書かせてみようという試みのようです。
マンガに関しては、以前短い文章を書いたことはありますが、しっかりと書いたのははじめてです。これまで基本的には一枚モノばかり扱ってきたので、シーケンシャルなメディアは慣れなくて。分析の手付きにぎこちないところがありますが御容赦を。
ちなみに拙論で分析の対象としたマンガは、『風流江戸雀』(初版は潮出版社、1987年)です。
- 作者: 杉浦日向子
- 出版社/メーカー: 小池書院
- 発売日: 2007/09/27
- メディア: 単行本
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24号の目次は以下のとおり。
- 特集:漫画とマンガ、そして芸術(ジャクリーヌ・ベルント 編集)
- 「大人げないもの」が発達するとき――相似形としての絵巻とマンガ(山本陽子)
- 奈良絵本・絵巻と漫画・アニメ(石川 透)
- 黄表紙――江戸の自己言及的なマンガ(アダム・L・カーン/翻訳=土田恵子・西村葵)
- 北澤楽天の「漫画」――「旧派」の「旧き江戸趣味」から離れた新しいものを目指す(ロナルド・スチュワート)
- ジャポニスムとマンガをめぐる一考察(三浦 篤)
- 杉浦日向子と再-想像された江戸(佐藤守弘)
- 近代日本美術史における画家・漫画家・挿絵家――浅井忠・柳瀬正夢・真鍋博の場合(原田平作)
- 児童マンガの盛衰――田河水泡から手塚治虫へ(神林恒道)
- 私のマンガ論ノート(森村泰昌)
- 「アニメーション」の名称の変遷と「芸術性」について(佐野明子)
- メジャー誌における実験作の見分け方――あるいはマンガ誌の楽しみ方(吉村和真)
- 楳図マンガとマンガの恐怖――ホラー・マンガのアヴァンギャルド(前川 修)
- 妖(あやかし)を描く――美術史からみた少女マンガ(木川弘美)
- 一九七〇年代の少女マンガにおける芸術性への指向とその目的(竹宮惠子)
- 一九六〇年代フランスのマンガ文化――第九芸術への道(古永真一)
- 石子順造の知覚論的転回――マンガ批評を中心に(加治屋健司)
- 自生する前衛――つげ義春をめぐって(吉岡 洋)
- 「芸術家マンガ」試論――マンガの自意識と芸術家像の変容(橋本順光)
- マンガ展の困難について(高橋瑞木)
- 美術館でのマンガ展――「横山裕一 ネオ漫画の全記録:わたしは時間を描いている」展についてのレポート(金澤 韻)
- 「無意味」の「解読」――現代マンガから見た村上隆の絵画(ジャクリーヌ・ベルント)
- 〈資料紹介〉
- 八雲本陣蔵《源平合戦図屏風》について(並木誠士)
- 〈作家との対話〉
- 赤松玉女――思索的動画的な構想画から表現的フォーヴ的な抒情へ、その暈かされた姿態から滲み出てくる素直な表情はさらに強く人を惹きつけうるかどうか、油彩・アクリル・水彩・パステル・フレスコと多岐にわたる実技派(原田平作)
- 〈書評〉