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  • A Japanese Legacy: Four Generations of Yoshida Family, The Minneapolis Institute of Art, 2002.
    • ヨシダ・ファミリーとは、水彩、木版画で知られた大正期の画家、吉田博とその息子、遠志と穂高のこと。日本では、博が水彩画や新版画の文脈で触れられる以外は、ほとんど耳にしない。でも、彼らはアメリカで大人気で、僕がニューヨークのジャパン・ソサエティ・ギャラリーで働いていたとき、収蔵庫に山ほどあったのを憶えている。博と遠志は、ノスタルジアたっぷりに名所を描き、遠志の弟、穂高になっては、創作版画の影響下、アヴァンギャルドな抽象に至っている。特に博、遠志の版画は、ノスタルジックと謂い丈、巴水とかと比べると、どことなく乾いている。非常に面白い。ところが日本ではさして話題にも上らないので、一度調べてみたいと考えていたら、先日お会いしたアメリカの大学で版画技法を教えている日本人の摺師の方に、二年ほど前展覧会があったことを教えて頂いた。それで取り寄せたのがこの本。副題にある「ヨシダ・ファミリーの四世代」に「?」となっていたら、中の系図を見て吃驚した。博の義父、Kasaburo(このあたりアメリカの本なので、漢字が分からない)は、明治期に油絵を描いていたようだ。その娘、Fujio(博と結婚する)は水彩と木版画、遠志の妻、Kisoは、木版だけでなく、盆石でも知られ、穂高の妻、Chizukoは、表現主義的な抽象版画を、さらにその娘、Ayomiは、抽象的な木版画で現在も活動されている。確かに四世代。知らなかった。自らの不明を恥じる。近現代の版画史をもっと勉強しなければ。