地理学と写真術

Joan M. Schwartz and James R. Ryan, eds, Picturing Place: Photography and the Geographical Imagination (International Library of Human Geography)
地理学と写真術の関係については、これまであまり語ってこられなかった。そんななかで、編者の一人である地理学者J・ライアンは、Picturing Empire: Photography and the Visualization of the British Empireという、19世紀イギリスの帝国主義時代における地理学と写真術の共犯関係を扱った好著をものしている。そんな彼が、写真史研究者シュワルツと組んで出した論集が届いた。知っている名前としては、『写真イメージの世界―ゼネラル・エレクトリック社のコーポレート・アイデンティティ』を書いたデイヴィッド・ナイや『リコンフィギュアード・アイ―デジタル画像による視覚文化の変容』のウィリアム・J・ミッチェル(W・J・T・ミッチェルとは別人)が書いている。楽しみな一冊である。
ところで、僕はライアンの「to picture」という動詞の使い方が好きである。辞書で見てみるとその動詞は、「描く」という意味だけでなく、「to imagine」すなわち「思い描く」という意味もある。風景や地理学写真という表象手段によって、よその場所を表象し、かつ想像/創造することを巧く一言で言い表していると思う。で、拝借して「ピクチャリング・キョウト」という連載タイトルを付けた。