イーノ&バーン

ブライアン・イーノとデイヴィッド・バーンのコラボレーション・アルバム『My Life in the Bush of Ghosts』を聴いている。昔聴いたことがあるはずだが、ほとんど覚えていなかった。再聴したところ、その先取性に驚く。トーキング・ヘッズの『Remain in Light』(1980)の翌年にリリースされた(録音は79〜80らしいが)本作は、『リメイン・イン・ライト』*1をより深化させた形で、さまざまなリズム--ファンク、アフリカ音楽など--に溢れている。特に驚くのが、一曲を除く全曲で、既存の録音--ラジオやアフリカやレバノンの曲など--を「サンプリング」して使っていること。サンプリングといっても時代を考えると、デジタル・サンプリングではなく*2、おそらくはテープの切り貼りで作っていたはずである。今となっては普通だけれど、これが80年代初頭ということを考えると凄い。で、アイデアだけではなく、曲も格好良いし。そういえば同時期、ホルガー・シューカイも『Movies (Reis)』で同じことをしていたっけ(id:morohiro_s:20040628#p2、およびid:morohiro_s:20050122#p2を参照のこと)。時代は多少下がるが、マーク・スチュワート(元ポップ・グループ)とエイドリアン・シャーウッドもやっていたみたいである。

My Life in the Bush of Ghosts

My Life in the Bush of Ghosts

*1:当時、今野裕二と渋谷陽一との間で「これは搾取か否か」という論争があったことも思い出す。

*2:フェアライトは既に開発されているものの、このような長いサンプリング・タイムは実現していなかったのではないか。でもイーノのことだから分からない。要調査。