『文化と精読』

富山太佳夫文化と精読―新しい文学入門
ほとんどが90年代の後半に書かれたエッセイ。第一部しか目を通していないが、脱構築からニュー・ヒストリシズム、フェミニズム、そしてカルチュラル・スタディーズと、その時期に激変した「英文学史」の状況が簡潔にまとめられている。とくに「文学史が崩壊する」という章は、美術史の問題とも関わる。副題に謳われるように、よい入門書となっている。第二部は、各論のようで、農村文学論やマシュー・アーノルド(Culture and Anarchy)論など面白そう。