稲作中心史観

昨日のコメントで、fukayaさんから稲作中心史観について話が出たので、それについて触れられている網野善彦氏の文献をとりあえず一冊。

思えば、昔図書館で氏の『異形の王権 (イメージ・リーディング叢書)』を手に取ったことが、後の僕の進路に随分と影響を与えたと思う。中国の皇帝風の冠をかぶり、三鈷を手にした後醍醐天皇の「異形」の像や、絵巻における印地打の場面を手がかりに歴史を読み解く。「イメージを読む」ことの面白さの世界を開いてくれた一冊。これによって、民衆史やイメージ史(あえて美術史とはいわない)への興味をかき立てられ、民衆的イメージの研究をすることを決めた。参詣曼荼羅→大津絵→泥絵とシフトしていって、今に至る。
網野氏がコロンビア大学にシンポジウムでいらっしゃった時、いちどだけすれ違った(トイレの前で)。「御著書、拝読させていただいております」くらいの挨拶しかできなかったのが心残りである。