視覚文化リーダー(イギリス版)
今日もはよから文献紹介。イギリス版のリーダーで、御大ステュアート・ホール(しかしこの人も「ステュアート」か「スチュアート」かはっきりせんな。検索しにくいったら)が編纂に関わっているオープン・ユニヴァーシティの大学院のメディア論専攻のための教科書である。表紙のロバート・メイプルソープによる黒人男性の写真が印象的である。「黒人」であること(更にゲイかも知れない)や、彼が視線をこちらに投げかけていることなど、まさに視覚文化研究の教科書に相応しい表紙である。学術書表紙ランキング1位!
Visual Culture (Published in association with The Open University)
- 作者: Evans
- 出版社/メーカー: SAGE Publications Ltd
- 発売日: 1999/05/01
- メディア: ペーパーバック
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もう一つの特徴は、1章を使って、写真論--しかも80年代以降のいわゆるポストモダン写真論の成果--が紹介されていることだろう。その代わり、ここでも美術史色は後退している(プロパーはブライソンくらいか)。
ただ、アメリカに比べるとクイア研究が少ないのは、やっぱりゲイ・カルチャーは、アメリカが本場だからかな。
よく出来たセレクションだと思う。
ジェシカ・エヴァンズ、ステュアート・ホール編『リーダー--視覚文化』
- ジェシカ・エヴァンズ、ステュアート・ホール「視覚文化とは何か」
- 1,視覚的なものの文化
- 2,写真的意味を規定する
- C,写真を理論化する
- サイモン・ワトニー「写真の制度について」
- ピエール・ブルデュー「写真の社会的定義」
- アラン・セクーラ「アーカイヴを読む--労働と資本の間の写真」
- ロザリンド・クラウス「写真の言説的空間」
- D,写真における制度と実践
- C,写真を理論化する
- 3,見ることと主体性
- E,理論的視座
- F,まなざしをジェンダー化する
- G,人種的差異を「見る」