講義、講義

  1. 芸術学概論。前フリは、記号による世界の分節という話題の補足で、イヌイットにおける「雪」を表す単語が20以上あるという話をする。先週、虹は日本語では7色だけど、英語では6色、ショナ語では4色で、バッサ語に至っては2色という話をしたら、案の定(毎年あることだけど)、「そんなに細やかな日本人の感性って素晴らしい」みたいな反応があったので、これは文化の優劣とは関係がないという話をしつこくする。本題は、視覚の文化的制度としての幾何学的遠近法。日本の絵画における上下遠近法と、ルネサンス以来の幾何学的遠近法の比較。幾何学的遠近法の視点と近代的な主体の話など。さらに光琳の《杜若図屏風》と『伊勢物語』を例に、絵画を「読む」ときのコンテクストやプレテクストの問題を。名所の間テクスト性についても、ちょっと触れる。
  2. 写真論。前フリは観光ネタ。横浜写真と絵葉書とマーティン・パー。本題は、バルトの写真論。ソシュール記号学の基礎を解説した後、「今日における神話(『現代社会の神話―1957 (ロラン・バルト著作集 3)』)における言語(外示)と神話(共示)という拡張された記号体系について。最近3つくらいの授業で並行してソシュールの話をしている。一つは同志社だからいいけれど、↑の概論と写真論、両方で見る顔もあるんで気を遣い、「あっちでも話しているけど、復習のつもりで・・・」とか言い訳しながら授業を進めている。