展示論ビブリオ
鬼も大笑い。来年度後期のシラバス依頼がもう来ている。同志社の文献講読(英文)である。
このコマは、一昨年から担当していて、視覚文化論概説→広告論→記号/表象論ときているが、来年は何にしようか。「テーマ・パーク論はどうっすか?」っていう院生もいるし、ショッピング論、百貨店論も面白いかも知れないとか考えたけど、とりあえず展示論でも読もうかと。最近、僕自身も興味を持っているし、美学、美術史、美術批評とさまざまな指向の学生のニーズに応えられるだろう。
もちろん僕は美術館の現場というのは体験したことがなく(ギャラリー・アシスタントを1年足らずやっていたことはあるが)、プラクティカルな展示論というのはできない。むしろ、そうしたものをどのように相対化し、どのようにどう切り込んでいくかが、僕のするべきことだろう。だから「博物館学」でもなく、「アート・マネージメント」でもない「現場で使えない」展示論を目指したい。
以前紹介した Visual Display: Culture Beyond Appearances (Discussions in Contemporary Culture)(id:morohiro_s:10001027#p1参照)か、昨日id:photographology:20051202でも紹介されているThe Nineteenth-Century Visual Culture Reader (In Sight: Visual Culture)(近いうちに目次情報挙げます)のなかの論文にしようかと。驚異の部屋→博物学→モダンの展示→ポストモダンの展示という系譜を押さえながら、展示の意味作用そのものについて楔を打ち込むような論文がいいと思う。できれば民族学博物館の問題や、百貨店やショー・ウィンドウまで押さえてたらベストだけど。
で、とりあえず日本語で読める展示/コレクション論の文献リストを作ろうかと。
- ミシェル・フーコー『言葉と物―人文科学の考古学』
- クシシトフ・ポミアン『コレクション―趣味と好奇心の歴史人類学』
- バーバラ・スタフォード『アートフル・サイエンス―啓蒙時代の娯楽と凋落する視覚教育』
- ジェームズ・クリフォード『文化の窮状―二十世紀の民族誌、文学、芸術 (叢書・文化研究)』
- パトリシア・モルトン『パリ植民地博覧会―オリエンタリズムの欲望と表象』
- ポーラ・フィンドレン『自然の占有―ミュージアム、蒐集、そして初期近代イタリアの科学文化』
- ジョン・エルスナー、ロジャー・カーディナル『蒐集 (Kenkyusha‐Reaktion Books)』
- 鈴木廣之『好古家たちの19世紀―幕末明治における“物”のアルケオロジー (シリーズ・近代美術のゆくえ)』
- 吉田憲司『文化の「発見」―驚異の部屋からヴァーチャル・ミュージアムまで (現代人類学の射程)』
- 高山宏ほか『表象の芸術工学 (神戸芸術工科大学レクチャーシリーズ)』
- 吉見俊哉『博覧会の政治学―まなざしの近代 (中公新書)』
- 日本記号学会編『コレクションの記号論 (記号学研究)』
当然、こんなものじゃない。まだまだある。随時追加していく。