コレクションのモーメント

来年度、視覚文化論という新しい通年の講義も担当するし、同志社の文献講読で展示論を読むし、某大学から芸術受容論の集中講義の打診を頂いたし、という訳で展示/コレクション論をいろいろとそれこそコレクションしなければいけない。講義だけでなく、自分自身の研究(地理写真アーカイヴの問題)にも関連してくるだろうし。で、とにかく広範囲に亘るこの問題を整理するために、コレクションの「人生」のモーメントを、取り敢えず四つ(八つ?)考えてみた。これで少しは整理して考えていけるかなと思う(もちろん複数のモーメントにまたがる問題もあるし、別のモーメントで考えた方がいい事例もあるだろうが)。キーワードもあるったけ、思いつくだけ書き並べているけど、勿論これは僕の守備範囲に合わせたもので、もっともっと切りなく考えられるだろう(フィギュアとか食玩とかレコードとかもあるだろうけど、取り敢えずは守備範囲外ってことで)。アイデアなどあればヨロシク。

  1. 遭遇/採集
  2. 保存/分類
    • 「モノの秩序」フーコー
    • 正倉院、『君台観左右帳記』、唐物趣味、文人趣味(奇石、盆石など)、好古/考証(鈴木廣之)、民芸
    • 聖遺物、驚異の部屋、博物学
    • 考古学、美術史、ムネモシュネー(ヴァールブルク)
    • 人類学、司法写真、指紋
    • 図書館、辞書、分類法、アーカイヴ(セクーラ他)
    • コレクションの意味作用(ポミアン)
    • 宮武外骨の絵葉書コレクション
    • 芸術=文化システム(クリフォード)、民芸など
  3. 展示/表象
    • 礼拝的価値と展示的価値ベンヤミン
    • 茶の湯と茶会、物産会、書画会、開帳など
    • 近代の展示装置(美術/博物館、博覧会、百貨店、植物園など)
    • モダニズムの展示、ボックス・アート、インスタレーション
    • キャプション、絵解きとイコノグラフィ
    • 印刷物/マスメディア(図録、画集、雑誌、絵葉書、写真集など)、ワールド・ワイド・ウェブ
  4. 散逸/転用
    • モノの社会生活(アパデュライ)、使用価値と交換価値マルクス、ポトラッチ
    • 売立、所有歴、箱書、美術・古書・骨董市場、再コレクション
    • ブリコラージュレヴィ=ストロース、ド・セルトーほか)、パンク
    • セヴェラルネス中谷礼仁など

2と3については、コレクション/展示論では良く語られているが、1と4、すなわちコレクション以前/以後が結構重要なんじゃないかと思っている。