大正野郎
朝風呂に浸かりながら久々に読み返す。
- 作者: 山田芳裕
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2000/01/01
- メディア: 文庫
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芥川龍之介に憧れ、竹久夢二を愛し、賄い付きの下宿をわざわざ探して棲み、ゴールデン・バット(あるいは煙管)を吸って、三越の誂えのスーツを身に付け、「遺憾!」と叫ぶ。当然の如くブンガクブ。反時代的に見えるが、80年代後半って、ゲルニカとか原律子とか、『宝島』周辺で「レトロ」というのが盛り上がっていて、「〜〜でせう」とかわざわざ歴史的仮名遣で書くことが流行っていた時代(というか、それがクリシェとなって、少し恥ずかしくなってきた時代)だから、反時代的の逆で、時代に乗りすぎて滑稽になってしまった男の噺として読めばいいと思う。隣の部屋に棲んでいる6畳の和室におしゃれな調度をむりやり押し込み、ガウンでブランデーを呑むDCブランド野郎(ブロスの髪型で・・・)の滑稽さと実は大して変わらないというのが味噌。ロンドンに旅行に行っただけでニュー・ウェーヴ娘になってしまう友達とかも笑える。「ロンドンで買ってきたジャムのカセット」とか云っている。その頃ジャムはとっくに解散してると思うんだけど。