死絵

morohiro_s2006-04-23

遠戚の墓所のある寺は、浅草今戸にあり、歴史のある寺らしい。で、待合室に入ったら、床の字は秋艸道人(会津八一)で、ほぉ〜と思ってたら、鴨居に額が。よく見ると全て1860年〔万延1〕没の四代目尾上菊五郎の死絵だった。遺影研究者としては、盛り上がってしまい、写真を撮りまくってしまった。訝しげな親戚たちに、「よく分からないが、うちの息子は、何か死んだ人の絵とか写真を研究しているらしい」と説明する母の声が聞こえた。
どうやらこの寺には、菊五郎丈の墓所があるらしい。
と、外に出たらあった。音羽屋の紋入りの手桶。
死絵とは、名ある役者(後には浮世絵師も)が死んだ時、追悼の意を込めて刷られた浮世絵のこと。昔、書いた文から、説明のところを抜粋する。

江戸後期から明治に掛けて流行した〈死絵〉も追悼像の一種である。死絵とは、人気の歌舞伎役者が死んだとき、追悼と訃報を兼ねて出版された浮世絵版画のことをいう。役者の舞台上での在りし日の姿を描くだけでなく、樒や蓮華といった仏教式の葬儀に関わるモティーフを添えたり、死出の旅路の姿を描いたりするなど、観者に、その役者の死を想起させ、追悼の感情を喚起させる仕掛けがさまざま施されている。

一番右のものと同じものが佐倉の歴博にあるみたい→http://www.rekihaku.ac.jp/kikaku/index59/egakikata/pic2_48.html