メタ東京観光

なんか先週に引き続き東京にいる。今日、縁戚の法事に出席するためなんだけど、丁度タイミングが良いので、一日前乗りして、昨日は本郷→六本木というコース。

  1. 建築史学会記念シンポジウム「東京論その後」@東大工学部1号館→建築史学会:建築史学会賞:建築史学会賞受賞者
    • 藤森照信氏、初田亨氏、陣内秀信氏という東京論のビッグ・ブームを作った三人が、それからの20年を語るというもの。これだけの布陣の割には、小さな教室で、満杯も満杯。学生はみんな立ち見。階段にはすべて人が座り、マイク渡しもままならない状態。もともとはここに、鈴木博之氏も加わるはずだったというから、そしたらエライことになってたんじゃないか。で、話としては、発表者三人が、自らの研究を振り返るというもので、特に新しい何かがあったわけではないが、お三方とも「豪快」「誠実」「洗練」とキャラが見事にたっていて、しかも話が上手いもんだから、楽しめた。そうか、彼ら(全員ほぼ同年齢)が研究してたころには、エンデ+ベックマンとか辰野金吾を研究対象とするという思考さえなかったとか、彼らのそれぞれの師匠にあたる村松貞次郎、伊藤ていじ、稲垣栄三の話(裏話爆発)とか、初田氏の原稿を某建築系出版社がつき返して、筑摩が飛びついた話とか、ネタ満載。で、なんといっても収穫は、建築学の研究室の人たちが作った三人の経歴に、1960年代以降に発表された代表的な都市論を併せた年表。これは使える。大事にしよう。細かい年代に間違いがあると、発表者に指摘されてたけど。
  2. MORI ART MUSEUM | 東京―ベルリン/ベルリン―東京展
    • 杉本展の時にも感じたが、「豪勢」な展覧会をやる美術館だなぁ。ドイツのものと、日本のものを並べて、「似てるでしょ」「どっちかわからないでしょ」とする企画。さまざまな図録や本や展覧会でばらばらに見てきたものが、並べられることによりひとつのコンテクストを作り出すという、キュレータ主導型の展覧会の見本の様な感じ。まあ、多様化していく戦後がすこし焦点がぼやけてきた感じもしたし、都市にもっともっと焦点を合わせてもよかったとは思うが、それでもまあ相当なクオリティの展覧会だと思う。個人的には今和次郎考現学スケッチ生原稿(印刷指定書き込みあり)に、ミーハーにも「おおぉ」と盛り上がってしまった。行けない人は、とりあえず図録だけでも手に入れておいて損はないと思う。

建築史学会の会場で、久方ぶりにお目に掛かった方に、このコースを説明したら、「東京観光じゃなくて、東京論の観光だね」と言われた。確かにその通り。メタ東京観光の一日であった。