B・セッツァーのギター

ブライアン・セッツァーのギター教則ヴィデオ「ロカビリーの指弾き」。凄いから是非。

昔、ギターをはじめたばっかりの知り合いが、いわゆるメタルとかの早弾きのギターは無理だろうけど、とりあえずロカビリーなら、大したこともやってないだろうと浅墓なことを考えて、購入して、あまりにも難しく悲鳴を上げたもの。セッツァーのすごさを知らなかったそいつも悪いんだけど。
とにかくセッツァーのギター・プレイってのは、至芸。テンション・ノートとかさまざまに入れたジャズっぽいフレーズを高速ロカビリーに入れていく。デイヴ・エドマンズが惚れたのもよくわかる。
とにかく若い時(ストレイ・キャッツ)のあのルックスYouTubeで、出てきた頃は、ファッションだけのちゃらちゃらしたバンドかと思ってたら、聴いてみると、まさかというようなギターという驚き。「職人芸」に裏打ちされた「企画」の勝利だったんだろう。たぶんセッツァーという人は、そういう「組み合わせ」に長けた人なんだと思う。「組み合わせ」と引用こそが、ポストパンクのキモだと僕は思っているのだけど、それを見事なまでにさらりと体現していたバンドだった。
だから、ストレイ・キャッツ解散後、中途半端な「ロック」をやってしまって、あれはあれで悪くはなかったんだけど、ものの見事に大コケしたときは、本当に残念だった。その後、サイコビリーとかが出てきて、すっかり「過去」の人になったかと思われた。
でも、その後、オーケストラで、ロカビリーとスウィング・ジャズを組み合わせるという冒険に出たのを聴いたときには、流石だと思ったな。「その組み合わせがあったか」って感じ。スウィングの否定の上にモダン・ジャズの歴史というものが成り立ってきたという歴史があって、スウィングには、どうしても保守派というイメージがつきまとう。あの頃は、ハリー・コニックJrとかがいて、スウィング・リヴァイヴァルはあったんだけど、どうも面白いとは思えなかった。そこにパンクを通過したロカビリーを組み合わせるブライアン・セッツァー・オーケストラという企画で見事な復活を遂げる。たぶん、マッシヴ・アタックが、ダブとテクノとヒップ・ホップを混ぜたことと、ブライアン・セッツァーがスウィングとロカビリーを合わせたことっていうのは、見た目とかマーケットは全然違うけど、おそらく同じ「技法」として捉えられると思う。
興味ある人は、今日の一曲"Caravan" - 蒼猴軒日録も参照のこと。