巡礼と観光
- 作者: 和辻哲郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1979/03/16
- メディア: 文庫
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- われわれが巡礼しようとするのは、『美術』に対してであって、衆生救済の御仏に対してではないのである(37)。
「巡礼」といいながら、既に「観光」である。「仏像」から「彫刻」「仏教美術」へのコンテクストの変化と、「巡礼」から「観光」への変容は、パラレルだと思う。
と、一寸したメモ。
ついでに、近代における奈良と観光と写真と美術史に関するちょっとした年表。まだまだ未完成。
- 1872 壬申調査 正倉院開扉(蜷川式胤、横山松三郎)
- 1875 大仏殿回廊で第1回奈良博覧会
- 1880 奈良公園開設
- 1888 近畿宝物調査(小川一真)
- 1889 『國華』創刊
- 1893 工藤利三郎、猿沢池畔に写真館工藤精華苑を開業
- 1895 帝国奈良博物館開館
- 1896 奈良〜木津(京都)間に鉄道敷設
- 1909 奈良ホテル開業
- 1910 平城遷都千二百年記念祭:會津八一、はじめて奈良来訪
- 1919 和辻『古寺巡礼』初版
- 1922 小川晴暘、写真館飛鳥園を開業
- 1924 『古寺巡礼』改版、写真は小川晴暘
- 1943 亀井勝一郎『大和古寺風物誌』
- 1960 『古寺巡礼』の挿画写真が入江泰吉に
- 1963 土門拳『古寺巡礼』(写真集)
京都と一緒で、世紀転換期が重要そうである。