八犬伝の世界

完本 八犬伝の世界 (ちくま学芸文庫)

完本 八犬伝の世界 (ちくま学芸文庫)


子供向きの本で読み、NHKの人形劇http://homepage2.nifty.com/starship/参照)にはまり、そのノヴェライズ版まで買い……というところからはじまる八犬伝ファンである。大きくなってからも山風の「虚実冥合」のヴァージョン(『八犬伝(上)―山田風太郎傑作大全〈20〉 (広済堂文庫)』『八犬伝(下)―山田風太郎傑作大全〈21〉 (広済堂文庫)』)にやられ、しまいには岩波文庫版全10巻まで揃えてしまった(書棚の飾りになってしまってるけど)。以前にも八犬伝 - 蒼猴軒日録で書いたか。
むかし大学の頃、日本文学のレポートで、『八犬伝』におけるテクストとイメージの関係について書いたことがあって、その時に手に取り参考にしたのが、新書版だった『八犬伝の世界』であるが、http://d.hatena.ne.jp/solar/20060915/p1で完本が出ていることを知り、早速購入。
久しぶりに読み始めて、やはり面白い。まだ序と第一章しか読んでないけど、とにかく研究対象の魅力をいやみなく読者に伝える手腕に改めて感心する。対象への「愛」が溢れた論文って、読んでて疲れることもあるんだけど(僕自身に「愛」が足りないせいか)、高田氏の場合は、それを感じさせない。手腕か、愛の量が違うのか。
序で語られる口絵の謎解きは、やはるスリリング。近世文学研究における視覚文化論的アプローチの先駆と言ってもいいだろう。感服致しました。


岩波文庫版はこちら→Amazon.co.jp: 八犬伝 岩波文庫