祝復活! フィッシュボーン

Still Stuck in Your Throat

Still Stuck in Your Throat


何回か書いた今日の一曲"Everyday Sunshine" - 蒼猴軒日録非=ブラック、あるいはフィッシュボーンの困惑 - 蒼猴軒日録ように、フィッシュボーンに対しては思い入れが深いのである。で、彼らが久しぶり(7年ぶり!)にスタジオ録音のフル・アルバムを発表していたことに気付いて早速購入(ライヴ盤は出してた模様)。ヨーロッパでは昨年末に発売され、最近アメリカ盤が出たらしい。
歌/サックスのアンジェロとベースのフィッシャー以外、オリジナル・メンバーは残ってないけど、いやぁ元気で何より。すっごくええアルバムでした。同い年の星としてますます頑張って欲しいもんだ。Give A Monkey A Brain And He'll Swear He's The Center Of The Universeくらいからちょっとハードで重くなりすぎていた気がしてたけど。今回はその辺りを残しながらも、またまた以前のハイブリッド性(彼らの場合は「ミクスチャー」というより「異種混淆的」と言った方がいいような気がする)が戻っていて、その点もマンゾク。


で、前から思ってたことなんだけど、フィッシュボーンって何となくフランク・ザッパに似ている気がする。ザッパについてはそれ程深く聞き込んでいるわけではないので、ええ加減な感想やけど。いろんな要素がテンコ盛りなんだけど、それが混ぜ合わされて溶けあっているというよりは、コラージュのようにもとの物質が姿を残しながら貼りまぜられているような感じ(上で「ハイブリッド/異種混交」という言葉を使ったのはこの理由)がザッパっぽいのかな。フィッシュボーンの場合は、スカ、レゲエ、パンク、ファンク、メタル等々、今回はさらにジャズとかカリプソとかも入っているけど、それらがコルク・ボードの上に画鋲止めされているかのよう。で、それらがバラバラではなく、しっかり計算されて、ある意味で構成主義的に組み合わされている。今回の盤では、それがさらに明確になっているような気がする。猛暑のLAの街角でザッパとジョージ・クリントンが冷静に挨拶をしているような音楽。その二人が実際に出逢った場面を想像すると怖いけど。横でリー・ペリージョン・ライドンが温かく見守っていたりして。


で、これじゃまた売れんのだろうなぁ。あっ、だから2005年のライヴ盤Fishbone Live in Amsterdam (Bonus Dvd)アムステルダムでのもので、今回もヨーロッパ先行発売なのかな。アメリカ市場に見切りをつけて、ヨーロッパに照準を定めたというのは、穿ちすぎか。でも、そうだとしたら、それはいい戦略かも。というのも、こないだDub Stories DVD&CDを見てはじめて知ったんだけど、今やダブが一番盛り上がってるのは、当然ダンスホール一色のジャマイカではなく、イギリスを凌駕する勢いでフランスやベルギーだっていうから、フィッシュボーンもヨーロッパ・マーケットの方がいいかもしれない。