日本美術史を読み直す

橋本治浅田彰「日本美術史を読み直す――『ひらがな日本美術史』完結を機に」『新潮』104巻8号、2007年8月


縄文/弥生から、本居宣長山根有三高橋由一亀倉雄策まで、幅広い対談。とはいえ、対話にいろいろとズレがあるのは、当たり前といえば当たり前か。


美術史におけるリヴィジョナリズムのなかで、メイン・ストリームなるものに対するオルタナティヴとして、たとえば辻惟雄奇想の系譜 (ちくま学芸文庫)』を皮切りとして、さまざまな「それまでの主流から落ちこぼれたところにヘンな人たちを見つけて面白がる風潮が出てき」たこと自体はインパクトがあったかもしれないけれど、「『大きな物語』なんていうのはどこにもなくなったにもかかわらず、彼らの弟子たちも同じように路傍の異端の花々を探すようなことばかりやっている」(p.181)という浅田氏の発言には、フギャ。これはさまざまなところからいろいろと苦言を呈されるところで、耳が痛い(ボク自身は辻先生の弟子でも何でもないけど、これこそ「他山の石」か)。ただ、日本美術史という領域自体が、そした「路傍の異端の花々」をメイン・ストリームに取り込んだ上で、再び「大きな物語」を作ろうとしているようにも感じられる今日この頃、もう少し頑張らなければと思う。


こちらも参照のこと→http://d.hatena.ne.jp/solar/20070707#p1