『19世紀美術読本』
久しぶりの文献紹介。
Janis Tomlinson, ed., Readings in Nineteenth-Century Art, Upper Saddle River, NJ: Prentice Hall, 1996.
Readings in Nineteenth-Century Art
- 作者: Janis Angela Tomlinson
- 出版社/メーカー: Prentice Hall
- 発売日: 1995/08/21
- メディア: ペーパーバック
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ジャニス・トムリンソン編『19世紀美術読本』
- アンドリュー・マクレラン「恐怖政治における革命的メタファーとしてのルーヴル美術館」
- ジャニス・トムリンソン「燃やせ、隠せ、見せびらかせ――ゴヤの〈マハ〉と検閲的精神」
- ティモシー・F・ミッチェル「なんて狂ったプライド!――「ランドール事件〔ランドールという批評家によるC・D・フリードリヒに対する批判〕」における伝統と革新」
- ウェンディ・リークス「アングル、さもなければ〔「Other-Wise」なので「他者化」との掛詞だろう〕」
- デボラ・H・ジョンソン「合流と影響――1850年における写真と浮世絵」
- マイケル・フリード「彼自身の世代におけるマネ――1860年代における絵画の表面」
- ポール・タッカー「第一回印象派展とマネの《印象:日の出》――タイミング、商業、愛国主義の物語」
- ゼイネップ・セリク&ライラ・キニー「万国博覧会における民族誌と露出症」
- S・ホリス・クレイソン「父親と家族――《グランド・ジャッド》とその不在」
- タマール・ガーブ「ベルト・モリゾと印象主義の女性化」
- アン・N・ワグナー「ロダンの評判」
19世紀のヨーロッパ美術史に関する論文集。いわゆるニュー・アート・ヒストリー系の論文がほとんどである。
編者のトムリンソン氏、ゴヤの専門家で、ボクが学部の時にクラスを取った人である。近代美術史の講義を聞いて、えらく面白かったので、翌セメスターに19世紀フランス絵画のゼミも取った。そのクラスがリーディングがむっちゃきつくて、ひいひい言いながらついていったっけ。ニュー・アート・ヒストリーという動向にはじめて接したのは、この先生のクラスで。T・J・クラーク、ノーマン・ブライソン、リンダ・ノクリン、グルゼルダ・ポロックといった面々のテクストを毎週1〜2本読みながら、討論をしていくというゼミ。他、取っていた美術史のクラスは、サイモン・シャーマを除いて、どっちかっていうとオーソドックスな、保守的なものが多かったなかで、彼女のクラスは、ほんとに面白かった。彼女もまだ若く、イケイケドンドンって感じで。確か、ゼミでのターム・ペーパーでは「ドラクロワとオリエンタリズム」ってのを書いて、「分析があまい」って凹まされた覚えがある。今、考えると、「19世紀」という時代に興味を持ったのは、あの2クラスのおかげだった。
トムリンソン氏は、今はコロンビア大からデラウェア大に移って、大学美術館の館長をされている模様→http://materialculture.udel.edu/people/faculty/tomlinson/tomlinson-janis.html。