『磯崎新の「都庁」』

アセテート編集者日記 | Maintenance ModeでeditorN氏が激賞しているのを読んで、早速購入。

磯崎新の「都庁」―戦後日本最大のコンペ

磯崎新の「都庁」―戦後日本最大のコンペ

副題にあるとおり、「戦後最大の建築コンペ」と言われる1985年の東京都庁コンペを中心に、磯崎新vs丹下健三を中心に、モダニズム建築の問題や日本への「建築」移植の問題までもカヴァーした、門外漢にとってもとてつもなく面白いノンフィクション。ノンフィクションというより、むしろ城山三郎とか清水一行とかの企業小説のような読感もあり、一気読みしてしまった。丹下/磯崎の「父子」関係がまるでスター・ウォーズみたい。当然、丹下がダース・ヴェーダーで、磯崎はルーク・スカイウォーカー。じゃあ、岸田日出刀がヨーダ(怒られそう)。とにかくおすすめ。和田誠の表紙絵もよし(裏表紙はちょっと可愛い丹下)

いろんなエピソードも満載。岸田によるライカを使った建築写真(『過去の構成』/建築物をフラグメントにして捉えるものらしい)が丹下に与えた影響の話。建築写真、模型写真における磯崎と石元康博の関係。さらに天才模型師が出て来たり、磯崎のシルクスクリーンの利用なども興味深い。なんといっても強烈なのは、辰野金吾が、死の床でやおらむくりと起き上がり、両手を挙げて「万歳」をして、そのまま絶命したというエピソード。すげぇ。


橋爪紳也氏による書評は→http://book.asahi.com/review/TKY200806240152.html


著者自身も構造系の建築家(本書にも登場する木村俊彦事務所の出身)で、↓で大宅壮一賞を取った人らしい。読んでみよ。

光の教会―安藤忠雄の現場

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